ヒトから人間になる
随分昔のこと。
オレにひたすら、自分の意見を語っていた人がいた。
オレは何も分からん馬鹿者だったが、妙に頑固だった。
彼の言う通りにならないことが分かった時点で、彼は離れて行った。
それは、そういうものだと思う。
しかし、彼が語った事柄の中に、妙にオレの中に残った言葉がある。
「ヒトと人間は違う」
オレは、今もそのことを考えている。
自分が人間になれたかどうかは分からない。
しかし、今の人類がヒトに過ぎないということは分かる。
少し前に、あるショッピングモールに、お揃いのTシャツを着た親子がいた。
10歳くらいの男の子と車椅子の男性だった。
男の子は、ちょっと不貞腐れている風だったが、自分で車椅子を漕ぐ30代くらいの父親は堂々としていた。
オレの住む街には、こういう光景がちょくちょくある。
車椅子の人が独りで買い物に来ていたり、白杖の人が独りで出勤していたり、足の不自由な人が杖や何かで歩いていたりする。
よたよた歩くオレよりもすいすいと歩いていく。
おそらく脳性麻痺であろう子供の車椅子を押して、スターバックスで飲食する方も何度か見かけた。
これが、人間の街だとオレは思う。
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